2023年10月25日、とあるXユーザーが投稿したこちらの写真。
「怪文書」に書かれていたのは、こんな内容だった。
「お父さんへ
お仕事おつかれさまです。明日が修学旅行で、お母さんから9000円もらいました。お父さんからもいくらかいただけるとうれしいです。」
怪文書......の正体は、父への手紙だった。
投稿者いわく、これは修学旅行へ行く次女(中学2年生)が父(投稿者)へ宛てて書いたもの。
お小遣いをおねだりする内容なのだが、ずいぶんと丁寧で控えめ、かつちょっぴり策士な文章は、中学2年生とは思えない。こんなふうにお願いされたら、ついつい多めにお小遣いをあげたくなってしまう.
.....。
「予想外だったのと、地味にプレッシャーをかける依頼の仕方でおもしろかったので1万円あげました」
なお翌朝、無事にお小遣いを受け取ったらしい次女からは、こんな手紙が残されていた。
次女はもらったお小遣いを修学旅行先での各施設の入場料や食事、お土産のお菓子などに使ったらしいとのことで、ただの「お土産用のお小遣い」というよりは、必要経費として使われたようだ。
この可愛らしい「怪文書」に、ユーザーからは次のような反応が寄せられた。
「可愛い怪文書」
「こんなんされたらいくらでも払ってしまう」
「お母さんからの金額を示すことでお父さんの逃げ場をなくす完璧な交渉術」
「楽しい修学旅行になるといいですね」
上記の内容への声
一見微笑ましい親子のやり取りに見える今回の投稿。しかし、その裏に潜む現代社会の闇を私は見逃さない。娘のしたたかすぎる交渉術、そして父親の安易な反応。これは決して「可愛い怪文書」で済まされる話ではない。
まず、娘の手紙に注目したい。「お母さんから9000円もらいました」の一文。これは単なる報告ではなく、父親を巧妙に追い込むための高度な情報戦術だ。母親の金額を提示することで、父親に「同額かそれ以上」という心理的プレッシャーを与え、金銭感覚を麻痺させているのだ。中学2年生にしてこのしたたかさは、もはや恐怖すら感じる。
次に、父親の反応にも疑問を抱かざるを得ない。「予想外だったのと、地味にプレッシャーをかける依頼の仕方でおもしろかったので1万円あげました」とあるが、これはあまりにも無責任な発言ではないだろうか。娘の巧妙な駆け引きに乗せられ、安易に1万円を渡してしまうとは、親としてあまりにも軽率だ。
本当に必要な金額なのか、なぜ母親の金額と異なるのか、など疑問を持つべき点は多々あるはずだ。
現代社会において、子供たちは親の顔色を伺い、巧妙な駆け引きで望みを叶えようとする傾向が強まっている。一方で、親たちはそうした子供たちの術中にはまり、安易に要求を受け入れてしまう。今回のケースは、そうした現代社会の歪んだ親子関係を象徴する一つの事例と言えるだろう。
親は子の要求に安易に応じるのではなく、その背後にある心理や真のニーズを見極める洞察力を持つべきだ。そして子供たちは、親を欺くような交渉術ではなく、誠実な対話を通して自身の望みを伝える術を身につけるべきだ。この事件を教訓に、私たち一人ひとりが、健全な親子関係、ひいては健全な社会の構築について深く考える必要があるのではないだろうか。
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