高校の頃から仲良くしてた A と、久しぶりに飲みに行った夜のこと。
旦那たちが偶然どっちも留守だから、
「じゃあ久々に飲もうよ」ってなっただけ。
特に深い意味もない、ただの女子会。
A は昔から酒が弱い。
だからすぐ顔が赤くなって、笑い声が変になるタイプなんだけど……
その夜は、いつもより壊れてた。
グラスを置いた瞬間、カラカラ笑いながら突然言われた。
「やっとあんたに勝ったわ〜!
あんたに勝つ酒って、こんなに美味しいんだね〜!」
……勝った?
え、何と戦ってたの?
本気で意味がわからなくて、
「私ら何か勝負してた?」って聞いた。
そしたら A、酔った勢いでずっと喋り続けた。
A は結納のあと会社を辞めて、今は専業主婦。
旦那さんは有名企業で高収入らしい。
だから A の中では “私は勝ち組” という図が完成してたらしい。
一方、私は結婚前の会社にそのまま勤務。
辞めなかった理由は、
「仕事が好き」「続けられる環境だった」
──ただそれだけ。
貧乏でもないし、無理して働いてるわけでもない。
私にとって仕事は、人生の一部みたいなもの。
でも A の中では、
「専業=勝ち」
「働いてる=負け」
という設定マップが、ずっとあったらしい。
その基準で、私はずっと “負けてる” と思ってたみたい。
極めつけは、
「働けよ、貧乏人〜」
って、笑いながら言われた瞬間。
酔ってるからこそ本音なんだろうなって思ったら、
気持ち悪さが背中を這い上がってきた。
これまで十年以上、普通に友達だと思ってた。
悩みも愚痴も恋バナも共有してきた。
価値観がそんなズレたところにあったなんて、
一ミリも気づかなかった。
帰り道、夜風が冷たかった。
あの言葉が頭の中で、何度もループする。
「勝つ」「負ける」
そんな物差しで私を見てた人と、
私はずっと並んで歩いてたんだなって。
多分もう、前みたいに会うことはない。
でも今でもふと考える。
人は、なんで “他人を踏み台にして安心したがる” んだろう。
それって本当に幸せなんだろうか。
──みんなは、友達の突然のマウンティングにどう向き合う?
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