
親友の結婚式を台無しにしてしまった——そう思い込んでいた私だけど、本当は“救われた”のは親友の方だったのかもしれない。
私は昔、子どもの頃に親友(当時はただのクラスメイトだった)を車からかばったことで、顔に大きな傷が残った。親友は何度も泣きながら謝って、私は「大切な人を守れた証なんだから誇りだよ」と笑って過ごしてきた。成人する頃には化粧でほぼ隠せるほどになり、気にしなくなっていたはずだった。
そんな親友の結婚式。久しぶりに会えて嬉しくて、幸せそうな姿を見られるだけで十分だった。だが——お色直しの合間に流れたスライドショーで事件は起きた。
画面に映ったのは中学生の頃、親友と初めてお揃いの服を買った記念に撮った写真。そこに、当時の私の傷の跡が少し映っていた。
それを見た新郎が、私のすぐ側でこう笑ったのだ。
「顔の傷ヤバwww よくそんなので着飾れるな」
頭が真っ白になった。結婚式という場で、しかも親友の大切な人から言われた言葉。笑って流そうとしたけれど、胸の奥にズキンと刺さった。その表情を見た親友が、静かに、しかしはっきりと怒りを爆発させた。
「あの傷は私のせいでできたものなの!私の大親友を馬鹿にするような奴とは結婚できない!!」
そう叫ぶと、そのまま会場を飛び出して新郎を置いていった。
その後、新郎から謝罪があり、親友を交えて話し合いが行われたが、親友の決意は揺るがなかった。
「人を外見で笑うような人とは人生を共にできない」
そう言って、迷いなく離婚届を突きつけたらしい。
式の帰り際、親友は私に言った。
「私を二回も救ってくれたね。ありがとう。結婚式が台無し?そんなわけないよ。むしろ最悪の未来から救ってくれたんだよ」
そう笑う親友の強さと優しさに、私の方が泣きそうになった。
今は二人でご飯を食べながら、「次の休み旅行行こうね!」なんて明るく話している。
親友にとっても、私にとっても、あの日は“本当の幸せを取り戻した日”になったのかもしれない。
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