帰省のためにJRに乗ったある日、私たちは長旅を控え、少しばかりの余裕を持って指定席に腰を下ろしていた。夫と私は久しぶりに実家へ帰るため、気持ちも高揚していた。指定席という安心感の中で、ほっと一息ついたその時、思わぬ出来事が起こった。
列車が発車してしばらく経った頃、乗車してきた母親と幼児が私たちの指定席に座っていた。最初はただの勘違いかと思い、私は軽く目を向けていたが、どうにも座り心地が悪そうな表情をしていた。私は夫に小さく言った。「あれ、私たちの席じゃない?」夫はすぐに気づき、立ち上がり、静かにその母親に声をかけた。
「すみませんが、席を間違えていませんか?ここは私たちの指定席なんです。」
母親は最初、驚いたような顔をしてから、少し目を伏せるようにして言った。
「いえ、子供がここが良いって言うんです。」その瞬間、私たちをじっと睨む視線が交わった。私たちがあまりにも普通に頼んでいることが、何だか不愉快だったのだろうか。
夫は冷静に続けた。「でも、こちらは指定席ですので、これは私たちの席ですよ。」
すると、母親は少し顔をしかめて反論した。「でも、子供がここが良いって言うんです。私たちは次の駅で降りますから、少し我慢できませんか?それに、もし嫌なら自由席に行くこともできますよ。」
その言葉に、私は驚きとともに少し腹立たしさを感じた。指定席という権利がある私たちに、我慢しろというのはどういうことだろうか。夫も同じ気持ちだったのか、少し声を強くした。「自由席に行けば空いているかもしれません。でも、まずは退いてください。」
すると母親は、まるで逆切れするかのように言い返した。「それなら、あなたたちが自由席に行けませんか?子供がここが良いって言うんですよ。」
私たちは唖然として、言葉が出なかった。
この状況で、私たちが自分たちの席を譲らなければならないという理屈は全く理解できなかった。しかし、事態を穏便に解決するために、夫は車掌を呼ぶことにした。
車掌が到着すると、状況はすぐに進展した。車掌は冷静に母親に尋ねた。「指定席券はお持ちですか?」
母親は少し戸惑いながらも答えた。「いえ、持っていません。でも、子供が...」
車掌は淡々と答えた。
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