仕事帰りの夕方、私はいつものように近所のスーパーで夕食の買い物をしていた。夕方ということもあり、店内は混雑しており、レジには長蛇の列。五つあるレジはすべて稼働していたが、それぞれに7~8人が並び、後から来る客たちも列を見てため息をついていた。
ようやく自分の順番が近づき、ほっとしたのも束の間、突然、50代くらいの女性客が横からスッと私の前に割り込んできた。その場にいた全員が「えっ?」と目を見張るような出来事だった。私も驚きつつ、「割り込まないでください。みんな順番を守って並んでいるんですから、後ろに並んでください」と冷静に注意した。
だがその女性客は無視。再び少しきつめの口調で注意すると、レジの女性店員が突然、「その人はいいの、私の友達なの」と言い放った。
私はすかさず「割り込まれたんですよ」と訴えたが、店員は「だから大目に見てあげて」と取り合わない。割り込んだ女性客もこちらを見て「そういうことだから、残念だったわね」と嘲るような口調で言ってきた。
理不尽さに怒りを感じ、店長を呼ぼうとしたが、店員は「今日は店長お休みなの」と軽くあしらってきた。そして混雑するレジにもかかわらず、店員はその“友達”と世間話を始め、商品の処理も明らかに遅い。他の店員を呼ぼうにも近くには見当たらず、私は仕方なくその場で我慢するしかなかった。
私の後ろに並んでいた数人の客は不満を口にしながら、他の列に移っていった。ようやく私の番が来たが、店員は「待たせちゃったわねえ」と謝る素振りもなく、のらりくらりと作業を続けていた。
すると、先ほどの女性客が再びレジに戻り、また店員と談笑を始めた。そのせいでさらに作業は遅れ、私は思わず「早くやってください」と声を荒げた。店員は不満げに「やってるじゃない、せっかちねえ」と言い返してきた。
もう我慢の限界だった。これは本部に連絡するべきだと感じながら支払いを済ませようとしたその時、件の女性客が「じゃ、帰るわね」と言って店を出ようとした。
すると、私の後ろにいた男性客が彼女を追いかけて「待ちなさい」と声をかけたのだ。「払ってない商品、あるよね。詳しい話は奥で聞くよ」
女性客は「何なのよ!私は何もしてない!」と抵抗していたが、彼は今度はレジの店員にも「あなたも奥へ来てもらおうか」と声をかけ、二人を連れていった。
後に人づてに聞いた話では、その女性客は万引きをしており、レジの店員はその手助けをしていたという。なんと、以前から共謀しており、店員が意図的に自分のレジに友人を並ばせ、商品を通さず見逃していたのだ。被害額はかなりの額にのぼり、二人はそのまま警察に逮捕されたという。
まさか、あの理不尽な割り込みの裏に、これほど深刻な犯罪が隠れていたとは――。
その一件は、私の中で「日常の中の非常識」の象徴として、今でも強く記憶に残っている。
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