二十数年前、まだ小学生だった頃、私は家族と共にあるマンションに住んでいた。その部屋は私たちが引っ越す前に借りていたもので、場所は父の実家がある町の近くにあった。あの頃、私は子どもだったため、特に何も気にせず、家族と一緒に過ごしていた。しかし、今となって思い返すと、あの場所で起こった出来事が、あの時の私にとって非常に大きな影響を与えていたことを痛感する。
それから20年近く経ったある日、私は予期しない訪問を受けることとなった。自宅にピンポンが鳴り、ドアを開けるとそこには見知らぬ人物が立っていた。その人物は、私に「20数年前のマンションの家賃を払え」と一方的に要求してきたのだ。
私が驚き、少し戸惑っていると、その人物は一切の説明を省き、ただひたすらに家賃の支払いを要求するばかりだった。
何を言っても聞き入れてくれず、ただ「払え」という言葉が繰り返されるばかりだった。その場で会話は成立せず、私はしばらく唖然としていた。
それから私は、あまりにも一方的な要求に困惑し、どこかで相談できる場所はないかと考え、家の近くの「ほテラス」という相談窓口に足を運ぶことにした。そこで相談員の方に話を聞いてもらうと、相手の言分はどう考えてもおかしいということがわかった。相手は年配の方だったので、もしかすると認知症の影響で記憶が混乱しているのかもしれないと、相談員は言った。
そのアドバイスを受けて、私はその場では相手に深入りせず、冷静に対応することに決めた。しかし、私の中で疑念は解消されることはなく、もし本当に支払わなければならない家賃が存在するのであれば、それがどうしても納得できる形で説明されるべきだと思っていた。
そして数日後、再びその人物が訪れた。今回は一人ではなく、当時担当していた不動産の所長を連れてきていたのだ。私がかつて住んでいたマンションの管理をしていたその所長は、私の記憶にも強く残っている人物だった。私と同じように驚いていた所長は、当時の契約書などを探し出し、きちんと確認をしてくれた。所長は、特に不明な点や未払い金が存在するわけではないと説明してくれ、冷静に話を進めていった。
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