ある日の夕方、義母から電話が鳴った。
「あんた、私の財産欲しい?」
あまりに唐突で、思わず口をついて出たのは
「お義母さん、死ぬの!?」という言葉だった。
電話口の向こうで間髪入れずに返ってきた。
「まだまだ死なないわよ‼️」
そしてプツリと切れる通話音。
呆然としながらも、心配になってかけ直した。
再び繋がった電話で、義母は少し気まずそうに話し出した。
「遺産相続って嫁は権利ないって聞いたの。あんたに譲るって遺言書を書けばいいって○○さんに言われたのよ」
思わず笑いそうになった。
あのぶっきらぼうな義母が、わざわざそんな相談をしていたなんて。
照れ隠しなのか、気遣いなのか。
それを真正面から言えないあたりが、いかにも義母らしかった。
私も負けじと返した。
「お義母さん、遺産なんて要らないから、1度でいいから“可愛い嫁です”って言ってよ」
沈黙の後、ガチャリと切られる通話。
「ああ、まだまだ元気だな…」
思わずため息混じりに笑ってしまった。
義母はいつもぶっきらぼうで、遠慮がない。
私のことを「あんた」と呼ぶし、こちらも思ったことをそのまま言う。
周りから見ればギスギスしているように見えるかもしれない。
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