数年前の12月30日、品川駅から発車した新幹線は帰省ラッシュで満席でした。その中で私が座るべき指定席には、若い女性が乳飲み子を抱えたまま座っていたのです。私は驚きつつも「席、お間違えではありませんか?」と尋ねました。すると、その女性は「…あ」とだけ答え、赤子を抱えたまま通路に立ちました。まさか、帰省ラッシュのために席が一つしか取れなかったのかと思いながらも、親子三人で一席を使うのは難しいと感じました。
その後、車内で困った様子の男性が現れ、「すみません、ここ僕の席で…」と男の子が座っていた席を指摘しました。しかし、女性は再び「…あ」とだけ言い、三人は通路に立ったままこちらを向いていました。
男の子は「なんで僕たちの席を取られちゃったの?ここ、僕たちが先に座ってたんだよ!僕、座りたい!」と悲しげに声を上げました。その様子を見て、私はとてもいたたまれない気持ちになりました。
車内は、年末の混雑とともに、自由席に移動する余裕もなく、私も含めた乗客はどうして良いか分からず困惑しました。女性は他の乗客の前で説明することに恥ずかしさを感じているのか、ただぼんやりと立っているだけでした。このような状況で、乳飲み子と幼児を連れての旅行はあまりにも無謀に思えました。新大阪までの指定席は譲れないというのが、当たり前のルールです。
連日徹夜で疲れていた私は、イヤホンをして目を閉じました。その後すぐに眠りに落ちてしまいました。名古屋あたりで目を覚ました際には、親子の姿は消えていました。ほっとしながらトイレに行こうとすると、ドアの真横の床に、さっきの親子が座り込んでいたのです。赤子は泣き、男の子は「どうして僕たちがここにいるの?」と叫んでいました。
その場面を見て、再び深い困惑を感じました。
他の乗客の中には、「寝ている間に車内改札が回ってきて追い出されたのかも」との意見もありました。最初に注意する際に車掌を呼んで対応してもらうべきだったとの声もありました。私が思ったのは、こうした状況を目の当たりにしながらも、子供たちの悲しむ姿に心を痛めつつも、毅然とした態度で対応することが重要だということでした。
今回の経験は、帰省ラッシュの混雑と共に、公共の場でのマナーやルールの重要性を再認識させるものでした。親子三人での指定席の占拠や、他の乗客への配慮不足は、多くの人に不快感を与えることが分かりました。
これからも、こうした問題を未然に防ぐために、より一層の理解と協力が求められるでしょう。
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