私の実家は、北海道の田舎町にある商店を営んでいました。場所は一級国道沿いで、駐車場は30台分ほどの広さを誇っており、大型車も出入りが容易でした。通常は、夜間になると駐車場の出入口にチェーンを張って無断駐車を防いでいましたが、冬になると除雪車が頻繁に通るため、チェーンを張らないことが多かったのです。
向かいには工場があり、そこから頻繁にトラックが出入りしていました。最初は、工場のトラックがうちの駐車場をUターンや待機場所として無断で使う程度でした。親父もお向かいさんということで、少々のことには目を瞑っていました。しかし、次第にその行為はエスカレートし、冬の夜間にはトラックが一晩中無断で駐車し、アイドリングを続ける始末。これが原因で、夜の静けさが破られ、家族全員が眠れない状況になってしまいました。
何度もドライバーに注意をしましたが、一向に改善されませんでした。さらには、向かいの工場の支店長も全く聞く耳を持たず、まさにDQNな態度。これには流石の親父もブチ切れ、ついに策を練り始めました。
ある夜、再びトラックが無断で駐車していることを確認した親父は、計画を実行に移しました。まず、ドライバーが熟睡しているのを確認し、その後、トラックの周囲を除雪車やフォークリフト、自社の車で完全に囲み込みました。わずか数十センチの間隔でビタ付けし、トラックが一切動けないようにしたのです。
翌朝、トラックのドライバーは血相を変えてうちにやって来ました。「トラックが出れねえだろ、どけろ!」と怒鳴り込んできたドライバーに対し、親父は冷静に、しかし毅然とした態度で「俺の土地に俺の車をどこに停めようと俺の自由だ!」と一喝。
ドライバーはたまらず、向かいの支店長を連れてきました。
しかし、その支店長の態度も最悪で、親父はさらに激怒。「前からあんたにも苦情を言ってきたのに、一向に改善されない。
お前じゃ話にならない!このことをお前の東京本社に伝え、お前の会社の社長から直筆で詫び状を送らせろ!」と詰め寄りました。支店長は大慌てで、「そんなことをしていたら、朝の出荷に間に合わなくなっちゃう…」と必死に言い訳をしましたが、親父は「お前が俺の苦情を無視したんだから、俺もお前の話に付き合う必要はない!」と一切妥協しませんでした。
小一時間後、親父のもとに東京本社から詫び状のFAXが届き、その後、原本も郵送されてきました。そして数日後、例の支店長はどこかに左遷されたとの噂が風のように流れました。
この出来事は、無断駐車という些細な問題が、親父の知恵と毅然とした態度で見事に解決された瞬間でした。親父の策と対応には、家族全員がスカッとした気持ちになりました。そして、誰もが親父の行動に「GJ!」と声を揃えたことでしょう。無断駐車をする者に対して、毅然と立ち向かうことの大切さを教えてくれた出来事でした。
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