私が単身赴任中に、最愛の妻が亡くなった。突然の悲報は、警察からの一本の電話で知らされた。その時、頭が真っ白になったのを今でも覚えている。急いで駆けつけると、妻は男と一緒にドライブ中に事故に遭い命を落としたと聞かされた。さらに驚いたことに、男が運転しており、妻は妊娠していたのだ。
その男の遺体からは違法薬物が検出され、私は警察署で吐き気を抑えきれなかった。信じられない出来事の連続に、心が引き裂かれる思いだった。
自宅に戻ると、私の母親が妻のアクセサリーを処理させろと言ってきた。離婚後に私たち子供の間を転々としていた母親のそんな態度に、私は初めて拳を振るったことを覚えている。
妻の実家からは「お前のせいだ」と責められ、一週間が過ぎた頃、警察から再び呼び出された。
今回は横暴な刑事ではなく、副署長が応接室に現れた。そこで渡されたのは一冊の大学ノートで、「落ち着いて読んでください」と告げられた。
ノートには、私が単身赴任してからの日々が細かく記されていた。最初のうちは日常の出来事が綴られていたが、母親を引き取ってからの内容が次第におかしくなっていった。
私は母親にホテル代を送り、自宅に入らないように言っていたが、母親は我が家に侵入し、彼氏も連れ込んでいた。そしてその彼氏こそが、妻と事故死した男だった。
どうして妻と男がこのようなことになったのか、それは母親が彼氏に責められた際、妻を生贄として差し出したためだった。
ノートには、酷いことをたくさんされた妻の心の叫びが書かれていた。薬を使われ、変態的な行為を強制され、その姿を録画され、誰かに知らせたら私の勤め先に送りつけると脅されていたのだ。
私は、自分の鈍感さに対して憤りを感じた。妻とは子供を作る予定がなく、単身赴任が終わってから子作りをしようと決めていた。それが妻の実家にとって不満で、早く孫の顔を見たいと願っていたことも、日記から知った。
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