ある日、仕事帰りに彼氏と待ち合わせをして焼肉を食べに行くことにした。交際してまだ半月ということもあり、彼氏のことをもっと知りたいという期待感もあった。しかし、その夜は思いもよらない出来事の連続だった。
焼肉屋に到着し、早速「壺カルビ」を注文。彼氏は肉を目の前にして興奮気味に言った。「ごめん、これ一人で食べるのが夢だったんだ!」と。彼の言葉に驚きつつも、私は彼が楽しんでいる姿を微笑ましく見ていた。しかし、それが問題の始まりだった。
彼が壺カルビを一人で食べ終わると、次は私が網に置いたお肉に手を伸ばし始めた。「あ、これ焦げる前に返さないとね」と言いながら、私が焼いていた肉を次々と自分の皿に移す。
私が網の端に肉を置いても、彼はお構いなしに「これも焼けちゃうよ!」と勝手に手を出す始末。
その姿に、私は思わず笑ってしまった。意地汚さを超えて、むしろ滑稽にさえ思えた。彼の食欲には驚かされたが、焼肉を楽しむはずが、私は卵スープ、エビ二匹、そしてウーロン茶だけを口にすることになった。
食事が終わり、会計のタイミングで私は彼に2000円を差し出した。「先に渡しておくね」と。私が食べた分はそれほど多くなく、この金額で十分だと考えていた。しかし、彼の反応は予想外だった。彼はキョトンとした表情で、「割り勘じゃないと困るよ!」と焦った様子で言い出したのだ。
どうやら彼は、全体の会計が12000円を超えていることに気づき、手持ちの5000円では足りないことに気づいたらしい。結局、彼は私が多く払うように要求し、さらには「食べた量をカウントするなんて意地汚い」と私を非難した。
そんな彼の発言に対し、私は冷静に反論した。「焼肉をほとんど食べていない私に6000円も払わせようとするあなたが、どちらが意地汚いか考えてみて?」と。
そして、彼にその場で借用書を書かせることに成功。わずか半月の交際で、ここまで珍しい経験ができたことに、私は逆に感謝さえしていた。
彼との焼肉デートを通じて、私は彼の本性を知ることができた。初めは優しそうな彼だったが、その裏には自己中心的で無頓着な一面が隠れていた。食事のマナーや相手への配慮が欠けていた彼との関係は、この事件をきっかけに見直すことになった。
焼肉デートは、私にとってただの食事ではなく、彼の人間性を見極める重要な場となったのだ。交際していると、食べ物の分け合い方や金銭感覚など、普段の生活で現れる細かな部分が、相手の性格を反映することが多い。この一件で、彼との関係は自然と終わりを迎えることになった。
今回の出来事を通して、食事という場がどれほど相手の性格を浮き彫りにするかを改めて実感した。焼肉のように一緒に焼いて食べるスタイルは、相手との協力や配慮が試される瞬間でもある。彼のように、自分だけが楽しんでしまう人は、長続きしない関係を引き寄せることが多い。
彼氏との交際期間は短かったが、こうしたエピソードを通じて、相手がどんな人かを知ることができたことは、むしろ幸運だったのかもしれない。
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