私が働いていたスーパーマーケットで、ある日、女子高生が万引きをしている現場を目撃した。彼女が商品を盗んだ瞬間、私はすぐにその場を押さえ、店の裏手にある休憩室へと連れて行った。女子高生は顔を真っ赤にしながらも、平然とした様子で言った。「払えばいいんでしょ？いくら？」
その態度には、全く反省の色が見えなかった。彼女の言葉を聞いて、私は頭の中で少し苛立ちを覚えたが、冷静を保ち、親に連絡を取ることにした。すると、しばらくして、優しそうな母親が現れた。「大変申し訳ありません！本当に申し訳ありません！」と、彼女は涙を流しながら、私たちに向かって土下座をした。その姿に、私は少し驚きと同時に同情を感じた。
だが、そのとき、女子高生は冷たい目で母親を見つめ、こう言った。
「みっともない真似しないでよ！マジでしらけるんですけど！」
その瞬間、私は心の中で「こいつ、一体何を言っているんだ…」と感じ、驚きのあまり言葉を失った。しかし、その後の展開は私の予想を超えるものだった。普段はとても穏やかな店長が、今まで見たことがないような顔をして、女子高生に近づき、突然、彼女を思いきりビンタしたのだ。
その瞬間、店長の冷酷な表情に私は驚愕した。普段は笑顔が素敵で、誰に対しても優しい店長が、この時ばかりはその顔を一切崩さず、怒りの目で女子高生を見つめていた。まるで、腐った肉を見ているかのような冷徹さだった。「みっともない真似をさせたのは誰のせいだ！大事な娘だからこそ、頭を下げて謝ってるんだ！こんなことさせんじゃねぇ！」店長は激しく怒鳴り、女子高生はその言葉に圧倒されて、目に涙を浮かべながら震えていた。
彼女は店長の目を見つめたまま、ようやく泣き出したのだ。
店長はその後、母親に向かってこう言った。「大事な娘さんを殴ってしまい、申し訳ありません。
もし、何か責任があるのなら、私は取る覚悟があります。」
すると、母親は一瞬呆然とした後、涙ながらに「私が情けないばかりに…」と、逆に謝るのだった。母親のその言葉に、私は少し胸が痛くなった。結局、その日は母親が娘を連れて帰っていった。
翌日、驚くべきことが起きた。女子高生とその両親が、謝罪の品を手に店にやって来たのだ。家族で話し合い、反省した結果、娘を連れて謝りに来たという。「私たちも、もっとちゃんと見ていたら…」と両親は反省の言葉を口にした。女子高生も、「殴られたのは人生で初めてで、あんなに厳しく叱られたことは一度もなかった。母親にはしっかり謝罪をしました。反省しています」と、私たちに言った。
店長も、「私の方こそ、あんな風に殴ってしまい、申し訳ありません」と頭を下げた。最終的に、和解が成立し、事件は落ち着いた。
しかし、私はあのときの店長の怒りの表情が忘れられない。普段の優しい店長があんなに激怒している姿を見たことは、私の中で強烈な印象を残した。
そして、その出来事から学んだことは、優しい人を怒らせると、どんなに冷酷になるか分からないということだ。
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