私の所属する部署に、新しい新人が入ってきた。新しいメンバーを迎えるのはどの会社でもよくあることだが、今回は少し事情が異なった。というのも、新人の教育係に抜擢されたのは、入社してまだ五年目の若手社員、先輩だったからだ。本来ならばもっと経験豊富なベテラン社員が担当すべきところだが、どうやら上司たちはこの先輩を「この部署のエースに育てる」という意図で任命したらしい。彼自身もそのことを意気込んで語っていた。
「俺がエースになって、この新人を育て上げるんだ」と張り切っていた先輩の元、新人君が合流した初日。最初に予定されていた業務の説明は、通常なら二時間ほどかかる内容だったはずだ。しかし、驚くべきことに、その説明はわずか三分足らずで終わってしまったのだ。
「俺は一切教えない主義だから、見て覚えろ」と先輩は言い放ち、新人君にそのまま業務を任せた。周りからは「こんなやり方じゃ無理があるんじゃないか?」と懸念の声が上がったが、先輩はまったく耳を貸さなかった。「俺のやり方で育てるから、困ってても手を出すな」と言われ、誰もがその方法に不安を感じつつも、何も言えなかった。
新人君はどうにかして先輩の期待に応えようと、一生懸命メモを取りながら業務をこなしていた。しかし、後々確認すると、彼が手がけた業務にはいくつものミスが見つかった。上司が「ちゃんと教えてやれ」と注意すると、先輩は「何で俺が怒られなきゃならないんだよ、悪いのはあいつだろ」と不満を漏らし、陰で愚痴を言っていた。
そして、先輩は新人君を呼び出し、まるで彼を責めるように言った。「なんでちゃんとやらないんだ?見て覚えろって言っただろ?今まで何してたんだ、会社は学校じゃねえんだぞ!」新人君はその言葉に押し潰されるように、ただ俯いて「すみません…」と答えるばかりだった。
先輩は続けて、怒りを込めて言った。「ったく!使えねーな!やる気がないなら辞めちまえ!とっとと荷物まとめて田舎に帰れ!」その瞬間、何も言わずに従っていた新人君が顔を上げた。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
次のページ引用元:https://www.youtube.com/watch?v=FJsb-9KkGyw,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]