私は地方都市でバス運転手をしています。毎日同じ路線を走り続けて10年以上。無口な高校生の男の子が、終点近くのバス停でいつも降りていました。
ある雨の夜、彼が転倒し、足を痛めた様子でした。「家まであと10分…」と困った表情。最終便で他に乗客もいなかったため、回送ルートの途中で彼の家の近くまで送ることにしました。規則には反します。でも、あの時は“人として”の判断を優先したんです。
翌日、お母様が「手術後のリハビリ中だったんです」と感謝に来られました。それ以来、彼は少しずつ心を開き、将来の夢まで話してくれるようになりました。
そして卒業の日。「推薦合格しました」と報告してくれた彼は、笑顔で陸上部の写真をくれました。
「最後の大会、自己ベスト出せました」——そんな言葉に胸が熱くなりました。
マニュアル通りではなく、あの時「人間らしく」判断したことが、彼の人生の一瞬を支えたのかもしれません。バスはただ道を走るだけじゃない。誰かの人生の節目に、そっと寄り添うこともある——そんな誇りを胸に、今日もハンドルを握ります。
ユーザーレビュー :
1.こういう行為を自己の裁量で実行出来ることは、責任ある社会人としても、素晴らしいことだと思いました。何よりも血の通った現場判断が大切なのだと今さらながら感じます。
2. 朝から、ほっこりさせてもらいました 元気が出ました
3. なんと素晴らしい👍 ドライバーの鑑です!
4.素晴らしい判断です。
その子は一生ドライバーさんを忘れずに次は自分で誰か遠助けると思います👍👍🍀
5.昔、バス路線ではないところをバスが走っていたのを見たことがあります バスジャックを疑い表示を見ましたが、回送になっており不思議に思いました。 車内でこういった物語があったのかな?
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