クリスマスが近づき、家のリビングに息子(9歳)が書いたサンタへの手紙が置かれていた。「サンタさんへ、ベイブレードの○○のアタックタイプをください。」と書かれたその手紙に、私は思わずにっこりと笑みを浮かべた。息子の笑顔を思い浮かべながら、翌日仕事を抜けてトイザらスへと急いだ。しかし、予想外の事態が待ち受けていた。
店に着くと、まさかの「売り切れ」の文字。人気商品とは知っていたが、まさかこんなにも早くなくなるとは思っていなかった。焦る気持ちを抑え、他の店舗を次々と探し回ったが、どこもかしこも売り切れだった。完全に詰んだと思った瞬間、最後の手段として、思い出したのは遠くの小さな店だった。
その店に入ると、棚にひっそりと残っていた「ベイブレードの○○のアタックタイプ」が1個だけ。
ホッと胸をなでおろし、すぐに購入して包装をお願いした。その時、店に入ってきたのは杖をついたおばあさん(おそらく70代)と、6歳くらいの男の子だった。男の子の目には涙が浮かび、必死で店員に駆け寄り「ベイブレードの○○のアタックタイプ、ありますか?」と尋ねた。
瞬間、私はその男の子の目と店員の目が一瞬交わるのを見た。店員は「すみません、売り切れました」と答えた。その瞬間、男の子は涙をこぼし、声を出さずに必死に泣きながら耐えていた。おばあさんも目に涙をため、つぶやいた。「ここにもないのか…」
足が不自由なおばあさんが孫と一緒に必死に探し回った様子が容易に想像できた。その光景に胸が締め付けられる思いだった。
私は自分が持っていたベイブレードを差し出した。男の子は驚いた顔で「え?いいの?本当に?」と笑顔を見せ、しっかりとお礼を言ってくれた。「ありがとう!」その言葉に、私は思わず微笑んだ。
おばあさんも感謝の気持ちを込めて手を合わせ、涙を流しながら「ありがよう、ありがよう」と呟いていた。その顔は皺だらけで、涙に濡れていたが、心からの感謝の表情が伝わってきた。
店員まで涙ぐんでいるのが、なんとも不思議な気分だった。
帰り道、隣町のショッピングセンターで再度探さなければならないと思いながら家に帰ると、息子が寝静まった後に妻にその出来事を話した。「あら、もう買ってあるわよ。でも、いいことをしたわね。」と言われながらビールを一本取り出してくれた。
その日の出来事は、私にとって何とも温かい気持ちを残すものとなった。世の中には、時に思いやりが必要だと感じさせられる瞬間があるものだ。
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