私は結婚して5年目になります。あの日、私は自分のしてしまったことに、深い後悔の念を抱くことになりました。それは、夫の大切なコレクションを、私の手で無理やり捨ててしまった出来事から始まりました。
夫のコレクション、それは鉄道模型でした。数十年もかけて集めたというその模型は、部屋の一角を占めるほどの規模でした。鉄道の線路も敷かれ、細かいディテールまでこだわった模型が並び、まさに圧巻の一大コレクションでした。しかし、私にとってはただの「大量の物」でしかなく、そのスペースを占領していることが次第に煩わしく感じていました。
結婚して2年目くらいから、私は夫に何度も言い続けていました。
「こんなにたくさんあるんだから、売り払ってしまえば?」と。しかし、夫はいつも「後で考える」「時間がない」と言って、結局行動には移しませんでした。私は次第に苛立ちを募らせていきました。夫は私の言うことを真剣に受け止めているようには見えませんでした。そんなある日、私はついに堪忍袋の緒が切れてしまったのです。
夫が出かけている隙に、私は業者を呼び、夫のコレクションをすべて引き取ってもらうことにしました。私の中で、これが最良の選択だと確信していました。帰宅した夫は、なんとも意外なことに、彼は涙ぐみながら謝ってきました。「売り払ったお金は、君が好きに使っていいよ。今まで迷惑をかけて、ごめん」と。
しかし、その後、夫の態度は急変しました。彼は、鉄道模型だけでなく、自分の持ち物を次々と処分し始めたのです。蔵書も、洋服も、使わないものは全て捨てるようになりました。服はもう必要最低限のものしか持たず、今では彼の持ち物は、衣装ケース二つに収まる程度になってしまいました。私が「これも必要だろう」と新しい服を買い与えようとしても、夫は「もういい」と言って、何も新しくは求めませんでした。
彼は、消耗品以外は一切買わなくなったのです。
私は徐々に不安を感じ始めました。夫が突然、どこかへ「ぶらっと」いなくなってしまうのではないか。そんな不安が、胸を締め付けて離れませんでした。
「これ以上、何も捨てなくていい」と私は夫に言いましたが、彼は黙って頷くだけでした。彼の目には、私が感じていたような恐怖や不安を理解する様子は見られませんでした。それどころか、夫は無欲に、ただ静かに物を減らしていくことに没頭しているように見えました。
あの日、私は夫のコレクションを無理に捨ててしまったことで、彼の心の中に何かを壊してしまったのだと。彼があれほどのコレクションを捨てられるということは、どれだけその物に対して思い入れがあったのか、私には理解できていなかったのです。
私の行動が、夫に対してどれほど無神経であったかを痛感し、後悔の念が押し寄せてきました。今、私はただただ彼が元のように笑顔を取り戻してくれることを願っています。しかし、それがどれだけ難しいことか、私はもう理解しています。
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