私は小学校5年生になる娘と一緒に、近くのスーパーで買い物をしていた。娘は買い物が好きで、いつも嬉しそうにカートを押しながら、私にあれを買って、これを買ってとお願いする。今日は豆腐を買おうと思い、28円という安さに惹かれて、思わず手に取った。
その時、突然、近くにいた小学校3年生くらいの男の子が私に寄ってきた。「ママ、この豆腐食べられるの？」と、その男の子が不思議そうに尋ねてきた。その子が指差しているのが自分の持っている28円の豆腐だ。男の子の母親も、ちらっと私の方を見て、ニヤリと笑った。その瞬間、私の心の中に少しの違和感が芽生えたが、母親はあまりにも軽い調子で答えた。「食べれないよ、28円の豆腐なんて（笑）」と、まるで私が貧乏であることを笑い飛ばすような口調で言った。
その後、男の子は更に続けた。「僕がいつも食べてるお菓子より安いよ。もしかして、この人、お金がないのかな？」と、私を指差して言った。その言葉に私は驚き、少しショックを受けたが、母親はただ笑って「ダメよ、本当のことを言っちゃ（笑）」と、まるで冗談のように注意もしなかった。私を指差して、バカにするような目で見てきたその母親に、私は言葉を失った。
その時、私の娘が突然口を開いた。「28円の豆腐でも、手をかけたらおいしくなるんだよ！君のママは料理が下手なんだね（笑）」と、満面の笑みを浮かべながら、男の子に言い返した。私は驚きながらも、娘の勇気に少し感動し、思わず笑いそうになった。男の子は一瞬黙ったものの、すぐに反応し、「ママをバカにするな！」と、怒鳴り始めた。
そして、彼はさらに大声で、「バカ」「デブ」「貧乏」と罵声を浴びせ始めた。その母親は、そんな息子を制することもなく、逆に「行こう、行こう」と手を引いて、怒鳴りながらどこかへ去っていった。
その後、私は娘に向かって「よく言ったね、あんなに勇気を出して」と、褒めた。娘がとても喜ぶ顔をしていたので、お好きなお菓子を買ってあげることにした。娘はそのお菓子を嬉しそうに手に取り、私に「ありがとう」と言って笑顔を見せてくれた。私はその笑顔が何よりも素晴らしく感じ、心が温かくなった。
今日の出来事は、ちょっとした笑い話のようでいて、実は大切な教訓をもたらしてくれた気がした。あの母親と子供には、これからも「28円の豆腐」がどれほど価値があるのか、少し考えてほしいと思った。そして、私はこれからも、娘が自分の意見をしっかりと持ち、他人に対して優しさを持ち続けてくれるように育てていきたいと強く感じた出来事だった。
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