夕方の特急電車が混雑するのは毎日のことだ。特に金曜日の夕方、仕事帰りや出張帰りの人々で車内はほぼ満席になり、自由席はもちろん、指定席さえも埋まることが多い。そんな中、時折現れるのが、「誰も来ないだろう」と勝手に指定席に座る無礼な乗客たちだ。
先日、出張から帰る途中、私はまさにそんな迷惑なサラリーマンに遭遇した。私が予約したはずの指定席に、三十代くらいのサラリーマンが堂々と座っていたのだ。しかも、彼はノートパソコンを広げて、まるで仕事をしているかのように振る舞っていた。もしかしたら、本当に仕事をしていたのかもしれないが、そんなことは関係ない。
「これは何とかしなければ」と思い、私は少し待合室で時間をつぶすことにした。発車直前に乗ることで、彼に何かしらの形で仕返しができるかもしれないと考えたからだ。電車がほぼ満席になった頃、ドアが閉まる直前を狙って、私は車内に駆け込んだ。車内を見渡すと、すでに多くの人が席を占めている。その中で、私が指定された席へ向かうと、ちょうどそのサラリーマンが、ビールを開けたところだった。
私はそのサラリーマンに声をかけた。「すみません、そこは…」と、穏やかな声で伝えると、彼は「あ…」と動揺し、急いでビールを置こうとした。しかし、慌てすぎて手元が狂い、なんとノートパソコンにビールをぶちまけてしまったのだ。まさに自業自得とはこのことだ。
彼の顔色は一瞬で蒼白になり、私は少し気の毒に思いながらも、冷静に席を譲ってもらった。
そのタイミングで、車掌さんが検札にやってきた。車掌さんは、苦笑いを浮かべながら、慌てふためくサラリーマンを生温かく見守っていた。結局、そのサラリーマンは席を失い、どこかに消えていった。
指定席というものは、「指定」するためにあるのだ。今の時代、スマホで簡単に席を予約できるのに、どうして事前に席を確保しておかなかったのだろうか。
「人の指定席を勝手に使うと、こういうことになるんだよ」という教訓を得た一件だった。
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