20年以上前のことだ。私は当時20代前半で、まだ若かった。高校時代から付き合っていた元嫁とデキ婚をした。当時、避妊に失敗したことで一緒に住むことになり、結婚することになったのだが、それは若さゆえの軽い決断だった。しかし、今思えば、結婚生活は始まった時から順風満帆ではなかった。
元嫁とは高齢者にとっては珍しいデキ婚だったこともあり、周囲の目も厳しかった。今ではそんなこともさほど問題視されないが、当時はかなりの偏見を受けていた。それでも、最初のうちは家族としての生活を大切にしようと決意していた。だが、結婚生活は思ったよりも早く厳しさを増していった。
結婚してからの数ヶ月間、私は仕事に没頭していた。
飲み会や同僚との付き合いも多く、家に帰るとほとんど寝るだけの毎日だった。もちろん、家族のことや子供の面倒を見ないことには心苦しい部分もあったが、当時の私は家族を支えるために必死で働いていた。だが、そんな生活が元嫁にとっては耐えられないものだったらしい。
ある日、仕事から帰宅すると、家の中はすっかり空っぽになっていた。元嫁が家財道具を実家に運び込んでいたのだ。最初は驚き、何が起こったのか理解できなかったが、元嫁の説明を聞いて愕然とした。「仕事ばかりで子供の面倒を見ないあなたに嫌気がさした」「養育費は要らないけど、面会もさせない」――これが元嫁の告げた内容だった。
彼女は私の両親にも断りを入れ、完全に実家に移った。そして、家財道具と数十万しかない貯金を手切れ金として私に要求してきたのだ。元嫁はこの時、私が家族のために働くことに専念しすぎて、家族との絆を深める余裕を持てなかったと感じていたらしい。だが、私はその時もまだ若く、仕事と家庭のバランスを取るのが難しいと感じていた。
それから数ヶ月後、私は離婚届にサインをしたが、その後も元嫁の実家の近くをうろつくことが多かった。今思えば、完全にストーカーのような行動だった。しかし、その時の私はどうしても元嫁とやり直したいという気持ちが強く、心の中で彼女に未練を抱えていた。
ある時、元嫁が再婚するという話を耳にした。相手は元嫁の従兄で、私よりも年齢がかなり上の男性だった。
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