あの日の出来事は、今でも鮮明に思い出す。何気ない土曜日の夜、突然、嫁の友人が我が家にやって来た。理由を聞くと、旦那とケンカをして家を飛び出してきたとのこと。しかも、着の身着のままで財布も持たず、身一つで家を出てきたという。最初は気の毒に思い、嫁の頼みもあって、仕方なく泊めることを承諾した。
その日は嫁友が泊まっただけで、特に問題もなく、翌日昼に自宅に戻ってもらった。お礼のメールが届き、それで一件落着だと思っていた。だが、次の日、仕事から帰ってきた俺は予期せぬ事態に直面した。
家の中に入ると、嫁友とその旦那が待っていた。何やらただ事ではない雰囲気が漂っていた。俺が帰宅すると、その旦那がいきなり俺に向かってこう言った。
「あんたがウチのカミサンの不倫相手か?」
その言葉に、俺は完全に理解できなかった。何がどうなっているのかと尋ねると、その旦那は「しらばっくれるな」と激しく俺に食ってかかってきた。状況がわからず、ただ呆然とするしかなかった。
俺も流石にキレかけたが、冷静さを保とうと必死だった。その時、嫁と嫁友が状況を説明し始めた。どうやら、事の発端は土曜日の夜にあった出来事から始まっていた。
嫁友の携帯に、男からのメールが入っていた。それを見た旦那が激怒し、そのまま嫁友とケンカになったという。その男が一体何者かはわからないが、嫁友は「ただのサクラをしていただけだ」と言っていた。だが、旦那はそれを信じることができず、不倫を疑い、最終的には激しい言い争いになったようだ。
ケンカになり、嫁友は家を飛び出して、行く宛もなく、最終的には我が家に来たという。嫁友自身もこの経緯は知らなかったというが、彼女がどうして我が家に来たのかもよくわからなかった。少なくとも、俺の家が避難所になったわけだ。
話が進んでいくうちに、旦那も徐々に状況を理解してきたようだ。嫁友と俺は赤の他人で、ほぼ面識がないことがわかると、ようやく誤解だと気づいたらしい。しかし、謝罪の言葉は一切なく、何もかもを投げ捨てて、ただ帰って行った。
その後、嫁友も帰ることになり、何事もなかったかのように家の中は静けさを取り戻した。
しかし、心の中ではいくつかの疑問が残った。
まず、嫁友が選ぶ友達はどうなっているのか、ということだ。嫁友はあくまで被害者だが、その選択肢には少し疑問が残る。もしも、あの旦那がもっと冷静に事を進めていれば、誤解は生まれなかったかもしれない。だが、それにしても、こうした不安定な状況が自分の家に持ち込まれるのはやはり気分が悪い。
次に、嫁がどうしてあんな事態になったのか。その理由も、あまりに単純で無神経だ。結局、嫁友とその旦那が持ち込んだ問題が引き金となり、我が家に不穏な空気が流れる結果となった。嫁も被害者であることはわかるが、それでももっと慎重に行動するべきだったと思う。
これからも嫁友との関係は続くのだろうか? そんな疑念が浮かんでくるとともに、この修羅場がどこまで続くのか、心配でならなかった。結局のところ、俺の家族の平穏無事が一番大切だ。もしまた同じようなことが起きれば、もう一度、心の中で何を守るべきか、しっかりと見極めなくてはならないだろう。
だが、今回の一件で確信したのは、誰かの不確かな言動に振り回されることは決して許されないということだ。俺の家を無断で巻き込んだ件には、きちんとした対応をしていかなければならない。そして、これからも冷静さを持って、すべての事態に対処していくことを誓った。
あの旦那が自分の誤解を理解し、少しでも謝罪をしてくれたら、少しは気持ちが楽になったかもしれない。しかし、そういった非礼を何一つ詫びずに去っていったことで、我が家は一時的に冷え切ってしまった。それでも、俺は前に進んでいかなければならないのだと、強く感じた。
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