「嫁姑の確執」という言葉はネット掲示板の常套句だ。しかし、まさかそれが自分の身に、しかも結婚して初めて義実家を訪れた日に降りかかろうとは誰が予想できただろうか。正直、ドラマのような「騙し討ち」が現実にあるとは思っていなかった。
その日、私は義母から頼みごとをされた。 「片道20分、往復で40分かかるあのスーパーにしか置いていないブランド肉があるの。夕食のためにそれを買ってきてちょうだい」 言われるがままに、私は往復40分かけて、指定されたブランド肉を買いに走った。しかし、汗をかきながら戻った義実家は、異様なほど静まり返っていた。
家の中は真っ暗で、玄関には鍵がかかっている。郵便受けには、義母の筆跡でこう記されていた。
『嫁ちゃんへ。家族だけでお寿司を食べに行っています。お肉は玄関のクーラーボックスに入れておいてください』
私は最初、怒りよりも先に「うわ、本当にやるんだ」という冷ややかな感心が込み上げてきた。
これが噂に聞く嫁いびりか。家族全員で寿司を食べる計画があるのに、私だけをわざわざ遠いスーパーへ使いに出し、その隙に置いていく。滑稽すぎて、笑いが止まらなかった。
私は即座に、クーラーボックスの中に一枚の紙を忍ばせた。 『お寿司、楽しんできてください。お肉は私が持ち帰って美味しくいただきます。なお、私を仲間外れにして楽しんだ報いですので、夫も当分帰らなくてよろしいです』
そのままブランド肉を持って帰宅し、一人で極上のステーキを堪能した。最高に美味かった。お金も渡さず、使いっ走りにした挙句に締め出すような義母だ。この肉は、私が一人で食い潰すに値する「報酬」である。
1時間後、夫から血相を変えた電話が入った。しかし、私は一切の妥協を許さなかった。夫は「母さんが、後から合流するって言っていたんだ! みんなそれを信じていたんだよ!」と弁解したが、結局のところ、義母の悪意に家族全員が踊らされていたに過ぎない。
その後、夫、義父、義姉は、私を置き去りにした義母の行為に激怒した。夫は義母に対し、「俺が選んだ妻にそんな仕打ちをするような人間は、もう母さんじゃない!」と絶縁を突きつけた。
あれから私たちは、義母とは一切関わりを断っている。義母からは何度も「誤解なのよ」「むちゅこたん(夫)に会いたい」と泣きつくメッセージが届くが、夫はそれをすべて遮断した。
自分が周囲を巻き込んでまで一人の人間を傷つけたその神経が、私にはどうしても理解できない。
人が嫌がることをし、相手の心を平気で踏みにじる。そんな子供でもわかることが理解できなかった義母の末路は、孤独そのものだ。
今、私の心は穏やかだ。義母には、一生自分のしたことの重さを背負って生きていってほしい。孫の顔も見せず、葬式すら行くつもりはない。これは、あの時、クーラーボックスの前で私が誓った、一生の覚悟である。あなたは自分が撒いた種で、一生を終えることになるのだから。
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