駐車場に戻った瞬間、私は一歩止まった。
最初は、光の反射だと思った。
灰色の車体に、白い線がすっと走っている。
夕方の西日が当たって、傷の部分だけが妙に浮いて見えた。
近づくにつれて、嫌な予感は確信に変わった。
傷だった。
それも、軽くこすった程度ではない。
ドアをまたぐように長く引かれた一本の線。
後ろ側には、子どもの落書きみたいなぐるぐるの傷。
さらに別の場所には、文字にも見えるような線まで刻まれていた。
私はしばらく、車の前で固まった。
「え、なにこれ」
声が出た。
でも、誰も答えない。
昨日まで普通だった愛車が、一晩で知らない表情になっていた。
最初に湧いたのは怒りではなく、混乱だった。
どこかでこすった?
いや、こんな線は走行中につかない。
自分でやった?
ありえない。
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