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「子どもがいるんだから配慮してもらえません?」満席の新幹線で、膝の悪い70代の父が指定席から立たされた。戻ってきた私が「ここ、父の席ですが」と聞いた瞬間、母親のまさかの返答に車内が凍りつき…
2026/07/11 告発

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満席の新幹線で、父は自分の席に座っていた。

七十を過ぎた父は膝が悪く、長く立っていると痛みで顔色が悪くなる。

だから私は、少しでも楽に移動できるように、早めに指定席を取っていた。

車内は混んでいて、通路にも人が立っていた。

父は窓の外を見ながら、少し疲れた顔で座っていた。

私は飲み物を買いに行き、ついでに洗面所に寄った。

戻ってきたとき、最初に見えたのは、通路に立っている父の背中だった。

父は座席の横に手を添えて、ふらつかないように立っていた。

顔色が白い。

私は一瞬で嫌な予感がした。

見ると、父が座っていた席には、見知らぬ若い母親が座っていた。

膝の上には子ども。

片手にはスマホ。

父には目も向けていなかった。

私は父に駆け寄った。

「お父さん、どうしたの?」

父は困ったように笑った。

「いや、子どもさんがいるからって言われてな……少し立っていれば大丈夫だよ」

大丈夫なわけがない。

膝に手を当てて、必死に体を支えている人が、大丈夫なはずがない。


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私はその女性に向き直った。

「すみません、ここは父の席ですが」

女性はスマホから目を離さずに言った。

「子どもがいるんです。少しぐらい配慮してもらえませんか?」

その言い方に、胸の奥が冷えた。

お願いではなかった。

当然のように、席を渡せと言っている声だった。

私はもう一度聞いた。

「この席、あなたの指定席ですか?」

女性はようやく顔を上げた。

「老人なら少し譲ってくれてもいいじゃないですか。子どもは疲れやすいんです」

私は静かに笑った。

「子どもは疲れる。でも高齢者は疲れないんですか?」

女性の眉がぴくりと動いた。

「冷たいですね。子育てしたことないんですか?」

その瞬間、隣の席の男性が口を開いた。

「今のは違うと思いますよ」

女性が固まった。

男性は続けた。

「さっき、このお父さんにかなり強めに言って立たせていましたよね。見ていました」

反対側に座っていた年配の女性も言った。

「この方、足が悪そうに見えましたよ。それでも立たせたんですか?」


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車内の空気が変わった。

さっきまで誰も見ていないふりをしていた人たちの視線が、一斉にその女性へ向いた。

女性は急に声を小さくした。

「そんなつもりじゃ……ただ、子どもがいて大変で……」

私は父の指定席券を取り出した。

「大変なのは分かります。でも、だからといって他人の席を取っていい理由にはなりません」

女性はまだ座ったままだった。

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