単価120円、合計18,000円。
そう書いてあるのに、
最後に渡された金額は――3,200円だった。
明細にはこうある。
お釣り先渡し △10,000
雑費 △1,800
寮費 △3,000
私はその場で、何も言えなかった。
「日帰りきついから寮どうする?」と前日に言われて、
終電も不安だった私は「じゃあお願いします」と答えた。
費用の話は、一度も出なかった。
そのことを思い出すより先に、
担当者の声が重なった。
「まあ、主婦だしね。」
「副収入みたいなものでしょ。」
軽い笑い。
私は、うなずいてしまった。
帰りの電車で、もう一度明細を広げた。
18,000円。
そこから、10,000円引かれて、
1,800円引かれて、
3,000円引かれて。
指でなぞる。
3,200円。
家賃68,000円。
保育料12,000円。
学童延長代、今月は2,500円増えた。
牛乳1本198円。
上履き2,300円、まだ買っていない。
私は、ひとりで子どもを育てている。
副収入、なんて余裕はない。
ポケットの中でスマホが触れた。
何気なく画面を開くと、
録音アプリが赤く光っていた。
終業前、時間を確認しようとして
間違えて押したままだったらしい。
鼓動が少し速くなる。
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