江戸時代の遊郭、特に吉原遊郭は豪華絢爛な世界として知られています。そこに身を置く「花魁（おいらん）」は、遊女の中でも最高位の存在であり、彼女たちの美しさや教養は伝説となることもありました。しかし、華やかさの裏には過酷な現実もあり、すべての花魁が幸せな結末を迎えたわけではありません。今回は、そんな伝説的な花魁5人と、悲劇的な最期を遂げた遊女「若紫」についてご紹介します。
遊女の中で唯一、大名の側室となった伝説の花魁が「六代目高尾太夫」です。彼女に心奪われたのは、姫路藩第3代藩主・榊原政峯。正室を亡くして気落ちしていた政峯が吉原で立ち寄った際、高尾太夫に一目惚れしました。彼は彼女を見受けするために大金をつぎ込み、最終的には側室として迎えました。
しかし、当時の将軍・徳川吉宗による享保の改革により、政峯は罰せられ、領地替えの憂き目にあいました。だが、それでも高尾太夫と共に越後高田に移り、政峯は名君として評価されました。六代目高尾太夫は、華やかな遊郭から一転して大名の側室となり、穏やかな晩年を過ごし、68歳で生涯を閉じました。
「紺屋高尾」という古典落語のヒロインとして知られるのが、五代目高尾太夫です。落語の中では、染物職人・久蔵が一目惚れし、彼女と結ばれるという物語が描かれています。この話はフィクションですが、実際に五代目高尾太夫は染物職人と結婚し、3人の子宝に恵まれました。
彼女は遊郭での生活から抜け出し、江戸手ぬぐいを広めることに成功し、84歳という長寿を全うしました。五代目高尾太夫は、美しさだけでなく、商才にも長けていた稀有な存在だったのです。
次にご紹介するのは、寛永三名妓のひとりとして知られる「二代目吉野太夫」です。
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