森由美子さん、57歳。大阪府河内永野市に家族三人で暮らす彼女は、看護師として長年働いてきました。しかし、今彼女は若年性認知症と診断され、その病と向き合いながらも、看護師としての仕事を続けています。若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症のことを指し、その進行は通常の認知症と比べて早く、患者本人とその家族にとって大きな負担となります。
3年前、由美子さんの生活に異変が現れました。これまできっちりと家事をこなしてきた彼女が、同じことを何度も繰り返したり、物を置き忘れたりするようになったのです。これを不思議に思った家族は医師に相談しましたが、その診断結果は思いもよらないものでした。
若年性アルツハイマー型認知症。家族は「信じられない」と思い、何度も別の医師に相談しましたが、診断は変わりませんでした。
由美子さんの病気が進行するにつれ、家族の生活も大きく変わりました。これまで由美子さんが担っていた家事のほとんどを、夫の正和さんが引き継ぐことになったのです。洗濯、料理、掃除、すべてが彼の肩にかかるようになり、日常の負担は大きく増えました。それでも、由美子さんは看護師としての仕事を続けたいという強い意志を持ち、医師と相談しながら、より負担の少ない部署で働くことができるようになりました。
しかし、仕事に復帰したことで新たな問題が浮上しました。
それは、通勤です。以前は一人で通勤していた由美子さんですが、病気の進行により、記憶が途切れ途切れになり、自分がどこにいるのか分からなくなることが多くなりました。通い慣れた道でも迷ってしまうことが増え、家族は由美子さんが無事に職場に到着するかどうか、常に不安を抱えるようになりました。
由美子さんの通勤をサポートするために、正和さんは仕事を休職し、毎日彼女と一緒に通勤するようになりました。しかし、この通勤の問題は家族にとって大きな負担となりました。正和さんは「危険だからといって外に出なくなると、刺激がなくなり症状が悪化する。でも、毎日の移動は家族にとって重い負担だ」とジレンマを抱えています。彼はまた、「由美子さんがこれまで家族のために頑張ってきたのに、今度は自分が支える番だ」と決意しつつも、現実の厳しさに直面しています。
さらに、新型コロナウイルスの影響で、街の景色が変わり、由美子さんの症状はさらに悪化しました。
人々が外出を控える中で、彼女はますます道に迷うことが増え、外出が恐怖に変わりつつあります。しかし、外出を避けると症状が進行するというジレンマが、家族の心を苦しめています。
また、若年性認知症患者の外出をサポートする法律や制度は整備されておらず、家族にとって自由な時間が制限されるという現実もあります。全国で毎年1万7千人以上の認知症患者が行方不明になるという統計もあり、この問題の深刻さが浮き彫りになっています。
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