約5年前、私は「シニア新聞」のインタビュー企画のため、山本陽子さんに取材を申し込んだが、彼女の事務所から「まだ早い」という返答があった。当時76歳の山本さんは、高齢者にカテゴライズされることへの抵抗感があったようだ。彼女は熱海の別荘に住み、冬には7センチヒールのブーツで歩くなど、独自のスタイルを保っていた。
山本さんは野村証券のOLから女優へと転身し、その生き方はいつも進取の精神に満ちていた。20代でポルシェを手に入れ、その後はジャガーに乗り換えるなど、自身のキャリアと同様に車にもこだわりを持っていた。人気女優として多忙ながらも、恋愛の噂に事欠かない生活を送っていた。彼女は「40代は恋愛に燃えた時期だった」と述べ、結婚を望んだことはあったものの、結局は結婚しない道を選んだ。
山本さんは生涯を通じて女優としてのキャリアに専念し続けた。大劇場での主演は数多く、年齢を重ねても脇役を嫌がらず、小さな劇場での出演も楽しんでいた。
彼女にとって演じること自体が喜びだった。予定では4月にも舞台に立つはずだったが、稽古を前にしてそれは叶わなかった。最後のテレビ出演では「80代も楽しみだ」と語り、健康である限りさまざまな役を演じ続けたいという願いを明かしていた。しかし、山本さんにとって80代は短すぎるものとなった。彼女の生き方は、自分の道を切り開き、自分らしさを貫くことの大切さを教えてくれる。
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