朝の通勤電車。人々が慌ただしく乗り降りするその車内で、ひときわ目を引く存在があった。
それは、一匹の大型犬――その犬は、静かに飼い主の隣に寄り添い、まるで「僕は誰も噛まないから安心してね」とでも言うかのように、自分の前足でそっと口元を押さえていたのだ。
この不思議な光景を目にしたのは、たまたま同じ車両に乗り合わせた一人の女性だった。
「犬が電車に…?」と最初は驚いた彼女だったが、すぐにその犬が“ただの犬”ではないことに気づく。飼い主は視覚に障害を持つ方で、その犬は盲導犬だったのだ。
その瞬間、彼女の中に込み上げてくるものがあった。犬は人混みの中、飼い主を守るためにぴたりと体を寄せ、誰にも迷惑をかけないように、じっとその場に伏せていた。
そして、人が近くを通るたびに、自らの口元を前足で軽く押さえるような仕草を繰り返していたという。その姿に、女性は思わず胸を締め付けられる思いがした。
盲導犬は、単なる“補助”ではない。信頼を超えた絆で飼い主を支え、社会の中で共に生きている。その一挙手一投足には、訓練だけでは身につかない「思いやり」と「誇り」が込められているのだ。
撮影した女性は後に、「あの犬の仕草を見た瞬間、涙が出そうになった」と語っている。
静かな電車の中、誰にも気づかれぬように自分を律する一匹の犬の姿は、多くの人の心に静かな感動を与えている。
これは、人と動物の間にある“本当の信頼”が見せた、ある朝の奇跡のワンシーンである。
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