休日の午後、友人と海へ釣りに出かけた帰り道の出来事だった。夕日が沈みかけた頃、静かな田舎道を車で走っていると、突如として後方から1台の白いクラウンがピッタリと車間を詰めてきた。
最初は気のせいかと思ったが、次第に様子が尋常ではなくなってきた。ハイビームを浴びせられ、さらにパッシング。極めつけは、クラクションを連打しながら車体を左右に蛇行させ、こちらにプレッシャーをかけてくる。その執拗な煽り運転に、不快感と緊張が高まった。
道は片側一車線。譲ろうにも追い越し可能なスペースはなく、「抜きたいなら勝手に行けよ…」と心の中で呟きながらも、ハンドルをしっかりと握り続けた。しかし、なかなか追い越す気配もなくわざと意地悪をした。
しばらく走ると、幸運にも道路脇に少し広くなった待避所のような場所が現れた。ここで前を譲ろうと思い、ハンドルを切ろうとしたそのとき、隣に座っていた友人がふと口を開いた。「なあ、今日って土曜だっけ?」
「うん、そうだけど?」
「なら……このまま真っ直ぐ走れ。譲らなくていい」その口調には何か確信めいたものがあり、少し戸惑いつつも、そのまま直進することにした。
しばらくして丘を登りきり、下り坂へ差しかかった瞬間――背後から、先ほどのクラウンが猛烈な勢いで追い越してきた。
そして、その刹那だった。丘の下に構えていたのは、まさかのスピード違反取り締まり中の警察官たち。
クラウンが警察に止められ、「こちらへどうぞ」と誘導される光景を目の当たりにし、思わず頬が緩んだ。
スピードを落として追い越すクラウンの横を通りながら運転席をちらりと見ると、そこには金髪の男と、カマキリのようなサングラスをかけた女性。男は警察に向かって声を荒げていたが、もはやどうにもならない。
横の友人はニヤリと笑ってこう言った。「この辺、土日はよく警察が張ってるんだよ。点数稼ぎやすいらしいからな。うまくいったな」そのドヤ顔と自信満々の態度に、思わず笑ってしまった。
煽り運転という理不尽なストレスと怒り。だが、それに屈せず冷静に対処し、結果的に見事な形で“逆転劇”が成立した瞬間だった。運転中の緊張感と、予期せぬ展開がもたらした爽快感。
休日のドライブは、ただの釣りの帰り道が、忘れがたいエピソードへと変わった。あのクラウンの運転手も、きっとこの日を忘れないに違いない。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
次のページ引用元:https://www.youtube.com/watch?v=kQViMSnGkcc,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]