私の住んでいる団地には、時々見かける「違法駐車」をする車があった。団地の駐車場は、当然契約者専用のスペースなのだが、何度も無断で停められたことがあった。特に、私の家の近くにある場所に止められることが多かった。うちの親父は長距離トラックの運転手をしていて、帰宅は不定期。そのため、帰宅するたびに駐車場を探すのが一苦労だった。
管理組合に相談しても、警察に連絡しても、まったく効果がなかった。何度も繰り返し、その車が自分の指定席のように停められていた。最初は腹が立ったものの、冷静に見ると、駐車されている車は、見るからにひどい状態だった。埃と泥まみれで、何年も洗車していないのではないかと思えるほどの汚れっぷり。
正直、あまりにもひどすぎて、見ていられなかった。
その瞬間、あるアイデアが頭に浮かんだ。これをただ黙って放置するのではなく、逆にあの車に新車のような輝きを取り戻してやることにしよう、と決意した。
私は業務用の強力クリーナーを用意し、その車をピカピカに磨き上げることにした。クリーナーを使うと、汚れが一気に落ち、まるで新車のように輝きを取り戻していった。その後、仕上げとしてフッ素硬化液体ワックスを塗布した。これが一度塗るだけで一年間は剥がれないという優れものだ。
そして、その結果を見てみると、車はまるで新車のように美しく変わっていた。
私は満足しながらその作業を終えたが、心の中では少しした満足感とともに、「これで二度と来ないだろう」と確信した。
その後、驚くべきことに、違法駐車していた車は、それ以降一度も見かけなくなった。
どうやら、私が車をきれいにしてあげたことに気づき、気まずくなったのかもしれない。喜んでくれたのだろうか、車が二度とその場所に止まることはなかった。
そして数週間後、駅前の駐車場で、あの車を偶然見かけた。なんと、車には不思議な模様ができていた。汚れた部分ときれいに磨かれた部分が、水玉模様のようにくっきりと分かれていた。あの時、ワックスを塗りすぎたせいで、こんなことになったのだろう。しかし、それを見た時、私は少し満足感を覚えた。
結局、あの車はその後、再び違法駐車をすることはなく、私の駐車スペースは静かな日々を取り戻した。あの車が再び現れることはなく、私は静かに安心して、駐車場に車を止めることができるようになった。
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