支払ったその日、銀行で領収書を受け取り、家に帰った。
封筒から取り出した書類を見ると、目の前が一瞬止まった。
「96,500円」
私は確かにこの額を納めた。通帳の記録も残っている。
でも、次の紙にはこう書かれていた。
「合計金額 6,200円」
――は?
数字が頭の中で跳ね回る。
何度見直しても、目の前の事実と支払いの記録が合わない。
9年間働いてフォークリフトの資格や残業で苦労したあの退職金の時の気持ちが、瞬間蘇る。
「またか……」
私は手元の領収書と納付書を交互に見比べた。
領収書の金額は間違いない。
通帳の記録も一致する。
なのに、公的な納付書は6,200円を示している。
息が詰まった。胸が締め付けられる。
これを黙って放置するわけにはいかない。
翌朝、自治体の税務窓口に向かった。
書類を机に置き、支払記録を提示する。
窓口の担当者は書類に目を通し、少し驚いた表情を見せた。
「こちら、控除前の金額ですね。確定額はこちらです。」
指差された先を見ると、6,200円は一部控除後の額だったことが判明。
私は一瞬、怒りと混乱で言葉を失った。
96,500円支払った自分の記録はどうなるのか?
「差額の意味は?」と問い詰めた。
担当者は落ち着いた声で説明した。
「差額は過払い分として自動的に翌年の税額から控除されます。」
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
次のページ