その日は朝から少し体調が悪かった。
立ち上がると、ふわっと視界が揺れる。
「あれ…ちょっと変だな」
無理して仕事に行くのも嫌だったので、近くの病院に寄ることにした。
受付で症状を説明すると、看護師さんが少し心配そうな顔をして言った。
「念のため点滴していきましょうか」
正直、そこまで大げさなつもりはなかった。
でも座っているだけでも少しふらつく。
まぁ、点滴して帰れば安心だろう。
そう思って処置室のベッドに横になった。
静かな部屋。
点滴のポタポタという音。
スマホを触りながら、ぼんやり時間が過ぎていく。
気づけば約2時間。
「はい、終わりましたよ」
看護師さんが針を外してくれた。
体も少し楽になった気がする。
「ありがとうございました」
そう言って病院を出た。
外の空気は少し冷たい。
駐車場に停めた車に向かいながら、私はふと時計を見た。
「2時間か…まぁそんなもんだよね」
病院の駐車場は、外来患者なら4時間まで無料。
入り口の看板にもちゃんと書いてある。
だから私は何の疑いもなく、精算機に駐車券を入れた。
機械が「ピッ」と鳴る。
そして次の瞬間――
無機質な女性の声が流れた。
「駐車料金は、165,700円です」
……。
……え?
今、なんて?
私は思わず精算機を見た。
赤い数字が、はっきり表示されている。
165700
桁を数える。
一、十、百、千、万。
……16万5千700円。
「いやいやいやいや」
思わず声が出た。
さっきまで軽いめまいだったのに、
今度は本物のめまいがしてきた。
私はもう一度画面を見た。
やっぱり同じ数字。
165700
「いや、2時間だよ?!」
思わず機械にツッコんでしまう。
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