その日は久しぶりの外食だった。
駅前の小さなトンカツ屋。
私は前から食べたかった
エビフライ定食を注文した。
揚げたての大きなエビが三本。
写真まで見ながら、
「絶対これにする」
って決めていた。
一方、
彼氏はいつもの感じだった。
「俺、普通のでいいや」
ロースカツ定食。
でも私は知っていた。
“普通のでいい”
と言いながら、
結局いつも人の皿を狙うことを。
ポテトを頼めば、
「一口ちょうだい」
唐揚げを頼めば、
「それ一個うまそう」
デザートを頼めば、
「半分くれるよね?」
しかも、
断ると空気が悪くなる。
「ケチくさ」
「彼女なのに?」
「それくらいいいじゃん」
毎回そんな感じだった。
だから今回は、
料理が来る前にはっきり言った。
「私のエビフライ、
食べないでね」
すると彼氏は笑った。
「子どもじゃないんだからw」
私は少し安心した。
ちゃんと伝えたし、
さすがに今回は大丈夫だろうと思った。
その後、
料理が来る直前に
私はトイレへ立った。
数分だったと思う。
でも席に戻った瞬間、
私は固まった。
私のエビフライ定食が、
彼氏の前に置かれていた。
しかも。
彼氏が普通に食べていた。
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