長男宅で、ついに初孫を抱いた。
小さな手、小さな足、そして柔らかい髪。胸の奥がじんわりと熱くなったその瞬間、夫が突然言った。
「すぐに帰るぞ!」
私は驚き、目を見開いた。大雨が容赦なく窓を叩く中、夫は無言で車を走らせる。私の心はまだ孫の温もりで満たされているのに、急に現実に引き戻された気がした。
「なんでそんなに急ぐの?」私は小さな声で尋ねる。
夫は一瞬だけハンドルから目を離し、私を見た。
「え?気づかなかったのか?」
私が首をかしげると、夫の表情が一変した。
「外は大雨だ。孫を抱いたまま濡れさせるわけにはいかないだろ」
その言葉に、私は胸の中で小さく膝を打った。
孫を抱いた喜びよりも、夫の思いやりの深さに気づかされた瞬間だった。
雨音が車内を包む中、無言のまま走り続ける夫の後ろ姿を見ながら、
「この人は、見えないところで本当に家族を守ってくれる人なんだ」
そう心でつぶやいた。
初孫との時間は短くても、夫の優しさがこの日を忘れられない瞬間に変えてくれたのだった。
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