落合博満は、大谷翔平と松井秀喜の間にある圧倒的な差を見抜いた数少ない人物の一人です。松井秀喜は、ゴジラの異名を持つ日本を代表するスラッガーであり、そのキャリアは日本国内だけでなく、メジャーリーグでも輝かしいものでした。しかし、大谷翔平が現れることで、彼らの間にある差が明確になっていきます。その差は、単なる技術や体格の違いだけではなく、もっと深い要因が隠されているのです。
松井秀喜は、高校時代からその恵まれた体格とパワーで注目を集め、巨人軍では本塁打王を3回、打点王を3回獲得するなど、セリーグの主力選手として活躍しました。しかし、メジャーリーグに挑戦した松井は、1年目のキャンプで「ここではホームランバッターではなく、中距離打者だ」と悟り、自身のバッティングスタイルを見直すことを余儀なくされました。彼の目標は、ホームラン数を増やし続けることでしたが、左手首の骨折や膝の故障などのケガにより、思い描いたキャリアとは違った道を歩むことになりました。
その中で、松井はヤンキースでの役割を見つけ出し、チームプレイヤーとしての価値を高めていきました。最終的に、2009年にはワールドシリーズMVPを獲得し、その名を歴史に刻みましたが、松井自身が理想としていたホームランバッターとしての成功には至りませんでした。
一方、大谷翔平は、その身体能力とパワーで、メジャーリーグでも異次元のパフォーマンスを見せています。2021年には46本塁打を記録し、2022年シーズンの終盤では既に44本を記録するなど、松井の成績を大きく超える活躍を続けています。落合は、大谷のパワーやスピードだけでなく、その全てを野球に捧げる姿勢に驚嘆しています。
大谷はプロ入り後、何度もケガに見舞われながらも、その間に肉体をビルドアップし、さらに進化を遂げてきました。
落合は、大谷が規格外の身体能力を持ちながらも、それを活かすための地道な努力を怠らない点に着目しています。
例えば、バットを弾きの良い素材に変更し、スイングパワーを最大限に引き出すための工夫を重ねてきました。その結果、大谷は逆方向への強打だけでなく、引っ張り方向でも強力な打球を飛ばす技術を身につけ、ホームランを量産しています。
落合は、松井と大谷の間にある決定的な差として「身長」の影響を指摘しています。松井の188cmに対し、大谷は193cmという圧倒的な高さを持っており、この違いがメジャーリーグでの成功に大きく寄与していると考えています。打者にとって、ピッチャーの投球を見極める際に、この身長差が視覚的な優位性をもたらし、打撃の精度を向上させるというのが落合の見解です。
また、松井がメジャーで苦労した要因の一つとして、スイングの途中で右肘がうまく畳めないことを落合は挙げています。この欠点が、メジャーの投手のボールに対応しきれず、松井の打撃成績に影響を与えたと分析しています。大谷はそのような欠点を克服し、メジャーの投手たちに対しても一貫して強打を放ち続けています。
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