長年の夢だったマイホームを、ようやく手に入れた。場所は自分の実家がある町で、幼いころからの知人や顔なじみも多い地域。安心感のある環境の中で、新たな生活を始めることができたのは、私にとって本当に嬉しいことだった。
建てた家のすぐ隣にはちょうど空き地があり、そこは昔から知っている方の所有地だった。思い切って相談したところ、好意もあって、かなり破格の値段で譲っていただけることになった。名義変更や契約もきちんと済ませ、正式な私有地として、将来的にはガレージの建設も視野に入れていたが、今はまだ予算の都合もあり、単に自家用車を停めるスペースとして活用しているだけだった。
そんなある日、思いもよらぬ出来事が起きた。
午後のひととき、玄関のインターホンが鳴ったので出てみると、近所の分譲住宅に住んでいる奥さん3人が揃って立っていた。笑顔でも世間話でもない、明らかに険しい表情をしていたのが印象的だった。
開口一番、彼女たちはこう言い放った。「ちょっと、あそこの空き地は“みんなの場所”なのよ」「子供たちの遊び場に、勝手に車なんて止めて何考えてるの?」「新しく引っ越してきたくせに、地域のマナーも知らないの?」怒気を含んだ一方的な非難。
私は一瞬、耳を疑った。まるでこちらがルールを破っているかのような言い方に、驚きと困惑を隠せなかった。
しかし、私はその土地を正式に購入しており、契約書も登記簿もすべて揃っている。冷静に対応するために家の中へ戻り、土地の権利書や購入契約書のコピーを持って再び彼女たちの前へ。誤解のないよう、丁寧に所有の事実を説明し、「ここは私有地であり、公共の土地ではない」ということをはっきりと伝えた。
だが彼女たちは、「でも前は誰も使ってなかったじゃない」「子供たちはいつもここで遊んでたのに」と、曖昧な主張を繰り返すばかり。納得した様子もなく、「何よ、感じ悪いわね」などと不満を漏らしながら帰って行った。唖然とするとはこのことだった。
一度も自分で調べもせず、ただ「昔は使えていたから今も使えるはず」と思い込む姿勢。そしてその誤解を正されたにもかかわらず、非を認めようともしない態度。
いったい「みんなの土地」とは、誰が決めたのか。
もちろん、地域での良好な関係を築くことは大切だ。しかし、それは最低限の礼儀と、事実に基づいた相互理解の上で成り立つものだと思う。私有地を「公共の遊び場」と思い込んで文句を言いにくること自体が、常識を逸していると言わざるを得ない。
その後も、奥さんたちからの謝罪はない。ただ、土地にロープを張り「私有地・無断立入禁止」と明記した看板を設置してからは、無断で子供たちが入ってくることもなくなった。
マナーを守ることは、誰にとっても基本であるべきだ――たとえそれが、長年その地域に住んでいる人であっても。
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