義兄夫婦が子どもを授からずに悩んでいることは、私たち夫婦ももちろん知っていた。義実家で同居する義兄夫婦に対して、義両親が気を遣っている様子も感じていたし、それを否定するつもりもなかった。
しかし、ある日突然、義母から思いもよらぬ言葉を告げられた。「あなたたち、もう義実家には来ないでちょうだい。子どもが2人もいると、義兄夫婦が気に病むから」
その場では言葉を失った。それでも夫は、子供たちを連れて行くことを控えようと考えた。しかし義母は、なんと夫一人で来ることすら拒否した。
納得がいかない夫は、義兄に直接確認をとった。すると義兄からは、こう言われたそうだ。「母さんに言ってもらった通りだ。こちらの気持ちを察せないなんて、お前たちも随分無神経だな」
義両親と外で会うことすら拒まれ、私たちは義実家と完全に距離を置くようになった。以来、連絡を取るのは冠婚葬祭のみ。夫もかなり落ち込んでいたが、10年もの月日が流れた今では、私たちの生活もすっかり落ち着いていた。
そんなある日、夫のスマホが鳴った。画面に表示されたのは、義兄の名前。「そういえば最近会ってないな。今度、飯でもどう?」
突然の連絡に夫は戸惑いながらも冷静に返す。「会わなかったのは、そっちの希望だったろ?コロナもあって、外食どころじゃないしな」
義兄は少し困ったように笑い、「じゃあ、うち(義実家)に来れば?」と続けた。
だが夫の返事は冷たかった。「以前、『顔も出すな』って言ったの、忘れたのか?今さら何を都合よく言ってる。
俺が行けば無神経って言ったよな」
義兄は直接的な言葉を避けながら、「年齢的にもう子どもは無理なんだ。だから、せめて身近な子どもたちと接したい」と、遠回しに本音を漏らした。
しかし夫の心は動かなかった。「絶縁を突きつけ、親との関係まで制限したくせに、気が変わったらまた仲良くしよう?そんな都合のいい話、あるか」電話はそこで一方的に切られた。
私も、義実家との関係を今さら復活させるつもりはない。私たちの気持ちも、生活も、10年前とはまるで違う。
一方的に距離を置かれ、今度は一方的に距離を縮めようとするその姿勢に、誠意は感じられなかった。そして何より恐れているのは、子どもたちが「心の隙間を埋める道具」のように扱われることだ。
義兄夫婦が本当に子どもと関わりたいのなら、せめて育成ゲームで満足してほしい。私たち家族の心の平穏まで壊されたくはない。
家族とは、血の繋がりだけで築けるものではない。時間と信頼が育てる関係を、10年前に彼ら自身が壊したことを、忘れないでいてほしい。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
次のページ引用元:https://www.youtube.com/watch?v=Lw4TvUOY1N8,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]