テレビ番組「耳が痛いテレビ」で、いとうあさこさんが視聴者からのクレームに対して素晴らしい回答をしたことが注目されました。この番組では、視聴者がテレビに対して感じる不満や疑問を芸能人との電話で直接ぶつけるというコンセプトです。
ある日、47歳の主婦から「女芸人の言葉遣いや振る舞いは下品だと思う。子供たちがマネしたら困る」というクレームが寄せられました。いとうさんはこの視聴者の意見に共感し、女芸人の言動に疑問を感じている親も多いことを伝えました。そして厳しい口調で、「女性なのにあそこまでやらないとダメなんでしょうかね?」と質問しました。
いとうさんは丁寧な対応で、「あそこまでやらないとダメというよりは好んでやっております」と答えました。
しかし、クレームは続きます。「あさこさん、お嬢様ですよね?普通に行ってれば良い所にお嫁さんに行って優雅な生活を送ってると思うのに、『ババア』とか呼ばれていていいんですかね?」と詰め寄る視聴者に対し、いとうさんは開き直った回答を返しました。「『ババア』は愛情を感じていて好き、それにババアですから」と言いました。
そして、いとうさんは個人的な見解を述べながら、洋服を着ていても下品な女性はたくさんいると指摘しました。「おっぱい出してるから下品」とか、「言葉使いが下品」ということではなく、もっと内側からにじみ出るものが「品」だと思うと述べました。この回答にはスタジオ内から多くの共感の声と拍手が送られました。
最後にいとうさんは、「マネしても『良い』と『悪い』は判断できる子に育つと思うんですよ。親子のコミュニケーションがしっかりしていれば、下品な子に育つわけではございません」と締めくくりました。この件について、長嶋一茂さんも「笑いが少ない時代に女の芸人の方々がしていることはとても大切なことだと思う」と擁護しました。
いとうさんの回答は、信念を持っていることが他人の意見に左右されない強さを感じさせます。
幅広い世代から好感度が高い彼女の名回答に、多くの人々が共感したことでしょう。
上記の内容への声
いとうあさこさんの返答は、一見するとウィットに富んだ見事なものに思えるかもしれません。しかし、私は彼女の言葉の端々に、現状の問題点から目を背けようとする態度を感じずにはいられません。確かに、お笑い芸人の表現の自由は尊重されるべきです。しかし、「ババア」という言葉が持つ女性蔑視の文脈、そしてそれが若い世代に与える影響について、深く考察した形跡は見られません。
「内側からにじみ出るものが『品』」という意見も、あまりに抽象的で、問題の本質を曖昧にしているように感じます。上品ぶった振る舞いをしていようと、心の中で女性を蔑視している男性は山ほどいます。
逆に、言葉遣いは荒くても、女性に対して敬意と愛情を持って接する人もいるでしょう。表面的な良し悪しだけで判断せず、その奥にある構造的な問題に目を向けるべきです。
そして最も看過できないのは、「親子のコミュニケーションがしっかりしていれば大丈夫」という安易な結論です。子供は親以外にも、テレビやインターネットなど、様々な情報源から影響を受けます。家庭だけで価値観をコントロールすることは不可能であり、社会全体で女性に対する偏見をなくしていく努力が不可欠です。
いとうさんのような影響力を持つ人物が、お茶の間で「ババア」という言葉を使って笑いをとることに、私は強い危機感を覚えます。それは、女性に対する蔑視を許容する社会の風潮を、さらに助長することに繋がるのではないでしょうか。笑いに包まれたその裏側にある、根深い問題に、私たちはもっと目を向けなければならないのです。
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