大学生の頃、放課後に女子寮の部屋で、数人の友人と無邪気に日常の話をしていたときのことを今でも鮮明に憶えています。話はどこかで逸れ、女性特有の生理周期について聊(はな)ぎ合うことになり、その中で友人 A がふと、ふざけたような口調でこう言いました。「ねえ、私、中3のときに生理がこなくなって以来、一度もきていないんだよねーw」
その一言で、部屋の空気は一瞬凝りました。私たちは面面相觑(めんめんそうぐ)し、それぞれ驚きを隠せない表情を浮かべました。中3から数年間、生理が全く来ないという事実は、医学的にも明らかに異常な状態です。すぐに「それやばいんじゃね?絶対に病院に行かなきゃダメだよ」「親に相談して、早く受診した方が良いんじゃない?」と、心配した友人たちが口々に勧めました。
しかし A の反応は、私たちの予想とは大きく違いました。彼女は顔をしかめ、明確に拒否しました。「やだ!そんなプライベートなことで病院に行くのは恥ずかしすぎる」「親も以前から『病院に行こう』って言ってたけど、私が嫌だから止めたの」。
さらに、私たちが続けて勧めると、A は感情を高ぶらせ、「もしこれ以上生理の話をして、病院に行くように無理やり言うなら、もう友達やめるから!」と脅すような言葉まで発してきました。
その時の A の態度は、いたって頑なで譲れませんでした。私たちは「友達やめる」という言葉を聞いて、どうしてもそれ以上追及することができませんでした。「もう彼女には無理だろう」「これ以上話をすれば関係が悪化するだけだ」と、それぞれ心の中で思い、やむなく話題を変えることにしました。当時は「いつか她(かのじょ)自身が問題を認識して、自然に病院に行くだろう」と安易に考えていましたが、その判断が後に大きな後悔に繋がることは想像もできませんでした。
大学を卒業し、それぞれが就職して地域も離れ、友人たちとの交流はだんだん減っていきました。A についても、「どこかで働いている」という程度の情報しか知らない状態が続きました。そんな中、大学卒業から約 4 年が過ぎたある日、私の携帯電話が突然鳴りました。
表示された番号は知らないものの、思いがけず A の声が聞こえてきました。
しかし電話の向こう側の A は、平穏な声ではありませんでした。激しく泣き叫び、ヒステリックな調子で何かを叫んでいますが、周囲の騒ぎ声も混ざり合い、具体的に何を言っているのか全然聞き取れませんでした。「A?冷静にして!何が起こったの?聞こえないからゆっくり話して」と何度も呼びかけても、彼女の叫び声は収まるどころか、さらに大きくなり、やがて電話は切れてしまいました。
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