冬の冷たい風が吹く日。
外は氷点下、白い息が漂う中で行われた結婚式。
花嫁さんは、ずっと憧れていた純白のドレスに身を包み、少し震えながらも幸せそうに笑っていました。
式が始まってまもなくのこと。
どこからともなく、一匹の蝶がふわりと現れたのです。
寒い季節に蝶が飛ぶなんて、誰もが信じられませんでした。
蝶はゆっくりと花嫁さんのまわりを舞いながら、
やがて彼女の肩に止まりました。
そのまま、10分以上も動かずに。
周りの人たちは「珍しいね」と笑っていましたが、
花嫁さんだけは、静かに涙を流していました。
「……お父さん、来てくれたんだね。」
彼女のお父さんは、3年前に亡くなっていたのだそうです。
式場は暖房のきいた室内。
それでも蝶が現れるには、あまりにも不思議な季節でした。
隣にいた新郎さんも、ただ黙ってその光景を見つめるだけ。
誰一人として、その蝶を追い払おうとする人はいませんでした。
式を担当したスタッフも驚きを隠せなかったとか。
「演出ではありません。本物の蝶でした。」
そう語る声に、会場はしばし静まり返ったといいます。
花嫁さんは式のあと、SNSにこう綴りました。
「お父さんが、本当に見に来てくれた気がしたんです。寒かったはずなのに、あの瞬間だけは心がぽかぽかしていました。
」
その投稿には、たくさんのコメントが寄せられました。
「お父さんが天国から祝福してくれたんだね」
「科学では説明できなくても、愛があるなら、それが奇跡」
――そんな言葉が並びました。
蝶は、ただの偶然だったのかもしれません。
でも、花嫁さんにとってあの瞬間は、
何よりも確かな“奇跡”だったのでしょう。
寒空の中、白いドレスの肩にそっと舞い降りた一匹の蝶。
それはまるで、天国からの小さな祝福のようでした。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
次のページ