インドア大陸の東海岸から内陸に向かって流れるウオーダバリーガの岸辺に位置する小さな村、マントル。ここで漁師をして生活を支えている安保さんは、息子の未来のために日々懸命に働いていました。彼は息子に猟師以外の選択肢を与えたかったのです。ある日の朝、安保さんは日の出前に川へ寮に出かけました。
朝日が昇り始めた頃、安保さんはボートの側に何か大きな生き物がいるのに気づきました。それは幼いワニでした。驚きとともに安保さんの心に緊張が走りましたが、ワニは襲ってくる様子はなく、静かにボートに寄ってきたのです。よく見るとワニの口にはビニール袋が絡みついていました。
安保さんは釣り竿を使って何とかビニール袋を取り除くことに成功しました。このワニはまだ幼く、他のワニよりもかなり小さく、体には傷跡がありました。お腹が空いている様子から、人間に助けを求めに来たのだろうと安保さんは推測しました。その後、安保さんは村にワニを連れて帰りました。
最初、安保さんの奥さんはパニックになりましたが、魚を与えるなどしてワニはおとなしく村で過ごしていました。安保さんは丁寧にワニの怪我を治療し、やがてワニは回復して元気になりました。そして自然に帰っていったのです。
それから二年後、安保さんはそのワニのことを忘れかけていました。しかし、ある日釣りに出かけていた安保さんが村に戻ると、そのワニが再び現れました。成長したワニは、安保さんを探しに戻ってきたのです。安保さんはそのワニに「飯塚」という名前を付けました。
飯塚は村の川に住みつき、安保さんやその家族、そして村人たちから魚や肉をもらって暮らしていました。一時期、姿を見せなかったこともありましたが、やはりまた村へ帰ってきました。
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