日本の陸上界に突如現れた新星、ドルーリー朱瑛里(しゅえいり)選手。彼女は中学生時代からその圧倒的な実力で注目を集め、高校生となった今でもその才能を存分に発揮しています。しかし、そんな彼女が直面しているのは、才能への称賛だけではなく、誹謗中傷という現実でした。
2023年、全国高校総体(インターハイ)で、ドルーリー選手はついに日本女子陸上界の絶対的エース、田中希実選手との直接対決を果たしました。田中選手は東京五輪でも輝かしい成績を収め、長距離走のトップランナーとして君臨しています。高校1年生のドルーリー選手にとって、この対決は大きな挑戦であり、彼女の未来を占う一戦でもありました。
しかし、結果は田中選手が大会新記録を樹立しての優勝。ドルーリー選手は自己ベストを更新したものの、4位に終わりました。「田中選手を意識しすぎて、自分の走りができなかった」と悔しさをにじませたドルーリー選手。
対して、田中選手は「シェリちゃんは本当に素晴らしい選手。これからの成長が楽しみ」と彼女の実力を高く評価しました。
ドルーリー選手の才能が光る一方で、彼女はSNS上での誹謗中傷という厳しい現実に直面しています。特に目立つのは、彼女がハーフであることを理由にした心ないコメントです。「ハーフだから速く走れるんでしょう」「日本人の血が入っていない選手が日本代表になるのはおかしい」といった偏見に満ちた発言が後を絶ちません。
ドルーリー選手は幼い頃からその外見ゆえに周囲からの視線に悩まされてきました。「肌の色が違うだけで指をさされたり、からかわれたりしました。
それがすごく辛かった」と彼女は語ります。さらに、容姿についても「美人だからモデルになった方がいい」など、彼女の才能とは無関係な部分に焦点を当てる発言も見られます。
このような中で、ドルーリー選手は「私は私らしく、陸上の道を進んでいきたい」と毅然とした態度を崩していません。しかし、こうした誹謗中傷が彼女にどれほどのストレスを与えているかを考えると、胸が痛みます。
なぜ、このような誹謗中傷がなくならないのでしょうか。日本社会には、依然として強い同調圧力が存在します。「空気を読む」「出る杭は打たれる」という風潮は、他者と異なる存在を受け入れることを困難にしています。さらに、無意識に残る差別意識や、戦後の歴史的背景からくる偏見が、ハーフである彼女に向けられることも一因でしょう。
また、メディアの過剰な取り上げ方も問題です。ハーフ選手の活躍を強調するあまり、彼らが特別視され、逆に反発を招いてしまうことがあります。スポーツは国籍や肌の色に関係なく、実力で勝負するものです。私たち一人一人が多様性を尊重し、他者の立場に立って考えることが求められています。
ドルーリー朱瑛里選手は、16歳という若さで数々の記録を打ち立て、未来を嘱望される逸材です。しかし、彼女がハーフという理由で誹謗中傷を受けている現状は、決して看過できません。多様性を尊重し、誰もが平等に評価される社会の実現に向けて、私たちも行動を起こす必要があります。
今後、ドルーリー選手が日本の陸上界を牽引し、多様性の象徴としてさらなる活躍を見せることを期待しています。彼女の勇気と挑戦が、日本社会の意識改革を促し、次世代のアスリートたちに新たな道を示すことを信じています。
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