付き合って6年になる彼女と、結婚することになった。
でも、うちは結婚式もしない。
フォト婚もしない。
指輪も、付き合ってた頃に買った2万円のまま。
「仕事でつけられないし、形だけでいいよ」
彼女はそう言って笑った。
軽い言い方なのに、その背中には迷いがなかった。
来年の春。
お互いの賃貸更新に合わせて、一緒に住む予定だ。
彼女は良い洗濯乾燥機とオーブンレンジを持っているからそのまま使う。
冷蔵庫だけ新しくすればいいねって、そんな話をしてる。
派手なものは何もない。
特別な演出もない。
でも、毎日の生活を丁寧に繋いでいく感じが心地よかった。
ただ、一瞬だけ考えた。
本当に、これで良いのかなって。
周りは言う。
「ドレス着なくていいの?」
「写真ぐらい残しておけば?」
でも、彼女は昔から「注目されるの、苦手」と言っていた。
「特別じゃなくていい。日常の方が大事なんだよ。」
その言葉に、俺は何も返せなかった。
彼女にとっては、この“普通”がちゃんとした幸せで。
俺にとっては、彼女が隣にいることが答えだった。
それでも、心のどこかで小さく揺れる。
なにか、サプライズをした方が良いんじゃないかって。
でも、押し付けになるのは一番嫌だ。
彼女が望んでいない「特別」を、俺が勝手に作ることになるなら。
結婚って、派手なものより、
こういう“迷いの中で相手を思う時間”の方が重いのかもしれない。
なあ、みんなはさ。
「何もしない結婚」と「何かしてあげたい気持ち」、どこで線引きしてる?
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