実家暮らしのオタ寄り喪男。唯一の楽しみはバイク。
清水の舞台から飛び降りて、25万のフルフェイスを買った。
袋ごと部屋に飾って、毎晩ニヤニヤしてた。
仕事から帰る。…ない。
棚の“黒い宝物”が、跡形もない。
家族は入らない部屋。来客は、姉のママ友AとBだけ。
親は言う。「ご近所だし、騒ぎはイヤだ」
でも、胸の奥がザワザワして眠れない。
“今動かなきゃ”って背中を小突く声がした。
通報。パトカーは静かに来た。
指紋、写真、質問。窓は割られてない。
「今日の来客の可能性も」と刑事。喉がカラカラになる。
その夜、さらに冷や汗。
数年前に集めたシルバーアクセも消えてた。
胃がきゅっと縮む。宝物って、まとめて狙われるんだな。
数日後。電話。
用品店から「その型を買ったのは君だけ」と。
“返品したい”って持ち込まれたらしい。
箱もなしで。
駆け込んだ先のリサイクルショップで、御用。
犯人は—やっぱり、あの日のママ友。
甥の就職祝いにするつもりだったって。サイズ合わず、悪あがき。
メットは戻る。けど、もうかぶれない。
命を守る道具は、一度でも管理外に出たら終わり。
新品で弁償。それがけじめだ。
姉は小さくなって謝った。親は「大事にしたくない」と渋った。
でも、黙るほうが、もっと大事になる。
泥棒が通る道を、こちらが広げることになるから。
残るシルバーは、まだ行方知れず。
悔しさは喉に刺さったままだけど、学んだ。
“好きなものは堂々と守る”。それだけは曲げない。
もしあなたなら、近所の目と自分の大切、どっちを先に守る?
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