
旦那の連れ子に、首を絞められた。
爪が食い込んで、皮膚が裂けた。
音が消えて、身体だけが震えた。
理由は口喧嘩。
私と旦那のあいだに、彼が割って入った。
父の味方をする、その目は私を敵と決めていた。
気づいたら、二人を家から出していた。
玄関を閉めた手が、ずっと冷たい。
床に落ちた自分の呼吸だけが、うるさい。
義実家へ電話したら、
「手を上げられるほうが悪い」と言われた。
土下座しろ、と。切ったのはそこでだ。
旦那は「離婚だけは」と泣いた。
私は「恐怖は一緒に暮らせない」と答えた。
彼は息子を義実家へ送り、私は鍵を替えた。
頭では、私は悪くないと言い聞かせる。
でも胸のどこかが、ずっと痛む。
親子の間に刃を立てたのは、私かもしれないと。
思い返す。
彼は私を“父を奪う女”と見ていたのかもしれない。
私もまた、彼を“暴力”という記号でしか見られなかった。
それでも、あの手の力は事実だ。
夜、ふいに喉を触ると、指の跡の記憶が蘇る。
怖い。だけど、守りたいものがここにいる。
義実家とは絶縁。
旦那は私抜きで親子を続ける。
私は二人の幼い子の眠る音を聴きながら、戸締まりを確かめる。
家族ってなんだろう。
血か、時間か、選ぶ意思か。
恐怖と罪悪感のあいだで、私はまだ答えを探している。
——もしあなたなら、
“守るための別れ”と“許すための同居”、どちらを選ぶ?

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