認知症の母を入浴させるたび、介護士は必ず浴室の鍵をかける――。「ねえ、鍵かけたでしょ?…ちょっと怪しくない?」私がそう言うと、夫の将太も小さくうなずいた。
正直、胸の奥がざわついていた。もし母に何かしているのだとしたら……。
そして数日後。私たちは隠しカメラの映像を確認することになる。その瞬間、夫は顔色を失い、震えながらつぶやいた。
「……俺たち、なんてことを疑ってたんだ」
私は西原紗子、三十歳。夫の将太と結婚して十年になる。
私たちは今、私の実家で暮らしている。同居しているのは――認知症を患う母だ。
最初はただの物忘れだった。冷蔵庫を開けっぱなしにしたり、水道の蛇口を閉め忘れたり。
「年を取れば誰でもあるわよ」
母はそう笑っていた。
だが、やがて症状ははっきりしてきた。お金をゴミ箱に捨ててしまったり、私を疑ったり。
「私のお金どこやったのよ!あんたが取ったんでしょ!」
近所に響くほどの大声で怒鳴ることもあった。
さらには、感情のコントロールができなくなり私に手をあげようとすることまであった。
正直、限界だった。
「さすがにホームヘルパーを頼もう」
夫の提案で、訪問介護サービスを利用することになった。
そして、やって来たのが――介護福祉士の打越優夏さんだった。
二十代後半くらいの若い女性。明るくて、はきはきしている。
「よろしくお願いします。慣れてますから大丈夫ですよ」
そう言って、母の介助を手際よくこなしてくれた。
入浴、着替え、トイレの補助。どれも私が苦労していたことなのに、彼女は驚くほどスムーズだった。
「コツがあるんですよ」
そう笑う姿に、私は正直助けられていた。
……ただ、一つだけ気になることがあった。
それは入浴介助のとき。
優夏さんは必ず浴室のドアを閉め、そして――鍵をかけるのだ。
最初は気にしていなかった。
だが、ある日。
母の腕に青い痣を見つけた。
「……え?」
胸がざわついた。
「ねえ将太、これ見て」
夫も顔を曇らせた。
「……もしかして」
その夜、私たちは小さな声で話し合った。
「優夏さんがやったとは限らないけど…」
「でも、入浴のときだけ鍵をかけるのはおかしい」
確かに母は認知症で暴れることもある。それでも、どうしても引っかかった。
母は以前、こんなことを言っていた。
「手を出さないで!」
あの言葉の意味は何だったのか。
疑念は膨らんでいった。
そしてついに――
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
次のページ引用元:https://www.youtube.com/watch?v=QRpleXmRSH4,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]